
遺言書は書かなくてもいい!?
「遺言書って書いたほうが良いの?」
相続のことを考えると、これは疑問に思うことですよね。
相続といえば遺言というイメージがありますし、なんとなく作ったほうがいいんじゃないかと考えている人も少なくありません。
遺言というのは、子どもがいない家庭や、家族ではない特定の人に遺産を渡す場合、家族関係が複雑な場合などは特に有効です。
また、普通の家庭であっても遺言があることでスムーズに相続手続きが進む可能性が高くなります。
こういった理由から、私は最終的に遺言書を作成して『これで相続が起こっても安心!』という状態を作ることを一つのゴールだと考えています。
『遺言を書くこと』だけでは意味がない
しかし・・・
注意してほしいことがあります。
それは、
『遺言を書くこと』
だけを考えてしまうと、意味がなくなってしまう可能性があるということです。
「こんな遺言は無効だ!」となってしまう危険
『この遺言書は有効か?無効か?』
という話を、テレビ番組や雑誌などで見たことがあると思います。
いざ遺言書を開封して読んでみたら、到底納得がいかずに
「こんな遺言は無効だ!!」
と家族の誰かが怒って家族内で争いが起きるケースですね。
こういったことは、実際に相続の現場ではよくある話です。
遺言が原因で揉めるパターン
どんな形で争いになる場合が多いかというと、
「長男に全部相続をさせる」
という遺言を書いたが、長男以外は財産をもらえると思っていて納得をしない場合。
「1人には自宅の土地と建物で、もう1人には現金」
というように財産の種類が違い、それに納得ができない場合。
「不公平がないように平等に分ける」
と遺言に書いたが、親の介護に時間と労力をかけた人がそれに反対をした場合。
など、このような場合があります。
それ以外にも、親から生活費をもらっていたからとか、実家に住んでいて住居費や生活費がかからなかったから不公平だとか、以前より教育や待遇の差があった等、こういった理由で遺言に納得しない場合は結構多いのです。
遺言が原因で争うことは何としても避けたい・・・
このような事態になってしまい、家族で争いになってしまっては遺言を書いた意味がないですよね。
良かれと思った書いた遺言が争いの種になり、残された家族が争ってしまうことを想像してみて下さい。
「こんなはずじゃなかった・・・」
と悲しい気持ちになりますよね。
これは、なんとしても避けたい所です。
では、こういったことが起こらない為には何をすれば良いのでしょうか?
遺言が原因で争いが起こる原因とは?
遺言のせいで争いが起こらないようにする為にできること。
それは、
「事前にしっかりと家族間でコミュニケーションをとっておく」
ということです。
なぜ遺言で争いが起きるかというと、親としては
「こういう理由があって、こう考えているからこのように分けることにしたんだよ」
という意思があるにも関わらず、その意思が子どもにしっかりと伝わっていないからです。
遺言よりも大切なこと
せっかく遺言を作っても
『なぜそのような分け方をするのか?』
『そこにはどんな想いが込められているのか?』
ということがしっかりと伝わっていなければ、争いの種になってしまう可能性があるのです。
逆に、それがしっかりと伝わっていれば遺言が原因で争いになってしまう可能性はグッと減ります。
極論を言うと、私は遺言を必要とする特殊なケースでない限り、家族内でしっかりとコミュニケーションが取れていれば遺言書は必ずしも必要ではないと思っています。
それができていれば、遺言がなくても残された財産を円満な形で分け、相続が終わっても「これで良かったね」と言い合うことができるはずです。
『遺言を書けば全て安心』ではない
遺言に関する情報は世の中に溢れており、遺言書を書けば相続は安心というイメージを持っている人も少なくありません。
しかし、
『遺言書を書けば全て安心』
ということは無いということをしっかりと覚えておいて下さい。
ただ遺言を作っただけでは、万全とは言えません。片手落ちの対策になってしまいます。
遺言書は、あくまで法的な手続きをスムーズにする為の書類です。逆に争いの火種になることもあります。
円満な相続を実現するのにもっと大事なのは、あなたの想いをしっかりと家族内で共有することです。
このことを、ぜひ忘れないで下さいね。