
遺産は平等に分けられるのか?・・・特別受益とは
代表プロフィールにも書きましたが、私の趣味は自動車です。
乗ることももちろん大好きなのですが、買うことも好きなカーマニアなんです。
保管場所に恵まれているおかげで、つい保有台数を増やしてしまう癖があり、現在5台ほど所有をしています。
そのうち3台は、もはやクラシックと呼ばれてしまいそうな年式ではありますが。
実は「その中の一台をぜひ譲ってほしい!」と、ある人からせがまれています。
その相手は、私の息子。
まだ中学生なんですが、父の影響でクルマへの興味が強いです。
しかし彼の言う「譲ってほしい」は「売ってほしい」ではなく、どうやら「タダでちょうだい」という意味のようです。
狙われているのは、ユーノスロードスター。
現在のマツダロードスターの初代モデルなのですが、昨今はバブル経済期のスポーツカーの価格が高騰傾向にあり、それにあやかり価値が上昇しているクルマです。
親から買う。
本人はそんなこと微塵も思っていないでしょうし、子に対して甘い私もきっとタダで譲ってしまうのだろうな・・・と想像しています。
息子の妹である長女は「ずるーい!」と言って、きっとへそを曲げることでしょう。
一言の妬みや悪口のせいで関係が悪化?
いつかは私も死を迎えます。
そうしたら私の遺産を家族で分けることになりますが、もしかしたら娘がこのように言うかもしれません。
「お兄ちゃんは以前お父さんからクルマをもらっているんだから、遺産の取り分の割合はこれだけよ。」
これを息子が素直に聞き入れてくれればよいのですが、
「お前だって、○○をもらっただろ!」
「お兄ちゃんなんか、ずっと私立の学校に通ってたでしょ!」
「お前だって、××だっただろ!」
売り言葉に買い言葉で言い争いが起き、
『ははぁー、お前そんな風に思ってたんだ…』
と、今まで知らなかったような妬みが明らかとなって、兄妹の関係に亀裂が生じるかもしれません。
そんなことにならないよう、十分に注意をしてクルマの譲渡を考えたいと思います。
不公平感から争いへ発展
相続を受ける人が複数いるにもかかわらず、一部の人だけが受けた特別な利益のことを「特別受益(とくべつじゅえき)」と言います。
著しく特別受益を受けている人がいると、遺産分割の際に相続人間での不公平感が生じて争いの一因となります。
例えば我が家の例で、私が亡くなっての相続で長男(息子)から、
「父さんが遺した遺産は平等に半分にしよう」
と提案されても、妹は納得しないですよね。
「すでにクルマをもらっているんだから、その価値分を差し引いてから半分にしなきゃ平等じゃないでしょ」と。
特別受益の一例
特別受益となる一例として、
結婚の際の持参金や支度金、大学への学費や留学費用、住宅の頭金や土地などがあります。
私が若い頃は、はじめの一台目のクルマは親が子に買い与えるのが一般的でした。
最近の事情は知りませんが、1人あたりの自動車保有率が全国1位の群馬県らしい習慣でしたね。
買ってもらったことのない子は不平等感を感じることでしょう。
遺産分割協議の際に、特別受益を主張するかもしれませんね。
そうなったら、どのように計算して分ければいいのでしょうか?
特別受益があった場合の分け方
特別受益の分を持ち戻しして、遺産分割をすることになります。
計算方法は、遺産総額に特別受益額を加算してから法定相続割合で分けて、特別受益の利益を得た方は利益分を差し引きます。
例えば、
故人の遺産は3000万円
相続を受ける人は、長男と長女のふたり
長男の特別受益額が1000万円
とします。この場合、
長男
(3000万円+1000万円)×1/2-1000万=1000万円
長女
(3000万円+1000万円)×1/2=2000万円
となります。
特別受益のせいで揉めないために
親が子を思いやる気持ちとして親心で渡したお金が原因となって、子供たちが遺産争いを始めるなんて、とてもいたたまれないですよね。
また特別受益には時効がないところも溝が深くなる要因です。
ですからそのような懸念がある場合は、遺す側が遺言書で特別受益の持ち戻し免除をする意思表示をしておきましょう。
またエンディングノートなどを利用して、どんな思いがあってそのお金を出してあげたのか、気持ちを残してあげられたら更によいでしょうね。
私は相続という出来事を通じて家族の絆が深まり、故人への想いを馳せるようなお手伝いをすることを目標としています。
お力になれそうだと感じられたら、どうぞお声を掛けてください。