マルクスプランニング  > 相続人に認められる最低限の権利、遺留分とは

相続人に認められる最低限の権利、遺留分とは

私には姉がいます。

兄弟姉妹は姉ひとりだけです。

ですから松葉家にとっては、私が長男になります。

長男っていうと、「しっかりしていなければいかん!」という責任が求められていると思いませんか?

次世代を担う、家族の代表者みたいな。

以前のコラムでも書きましたが、家督相続制度の名残なんだと思います。

長男が葬儀や法要を仕切って執り行う、長男が墓を守る。

「うちは長男がしっかりしてないから大変でね」

以前、お客様から相続手続きが遅々として進まない不満を聞かされたことがあります。

世の中は私を含め、しっかり者の長男ばかりではありませんから。

 

知らないうちに相続放棄

生命保険会社に勤務していた時、同僚からこんな話を聞いたことがあります。

両親が他界し葬儀を終えた後、

長男が、

「亡くなった後の事はすべてお前に任せる、と生前から親に言われていた。

このあとの事は何も心配しなくていい。だからここにサインと印鑑を押してくれ。」

と弟と妹に迫ったそうです。

その書類は「相続放棄申述書」

危うくすべての相続財産を放棄することになるところだった、と。

長男が「しっかり者」過ぎるのも、どうかと思いますね。

しかし同様の手口?に引っ掛かり、よく分からないうちに相続放棄をしてしまった人はたくさんいるそうです。

知らないのは怖いことですね。

気を付けましょう。

 

すべてを〇〇に相続する

では、相続が発生して遺言書が見つかって、もしもその中身に

「すべての財産を長男に相続させる」

とか

「愛人にすべての財産を相続させる」

などと記述がされていたら、他に相続人(相続権がある人)がいる場合はどうなるでしょう?

 

安心してください、もらえますよ!

特別な事情がない限り、他の相続人たちは到底納得ができないでしょうね。

私は1円も相続することができないのか?

しかしご安心ください、遺産の一部をちゃんと残せる制度があります。

その制度によって保証された遺産を「遺留分(いりゅうぶん)」といいます。

その遺留分という、遺産を自身の最低限の取り分を超えて相続する人に対して、遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)ができます。

ちょっと難しいですかね。

平たく言うと、「一定割合の遺産額は必ずもらえるルールになってるよ」ってことです。

 

遺留分の割合は

ではどれくらいの割合を請求できるのか?

遺留分の割合は、相続人によって変わります。

通常、遺産の1/2です。

しかし亡くなった人に配偶者や子がおらず、親や祖父母が相続する場合は1/3となります。

例えば、

故人の遺産額が6000万円、相続人が配偶者と子ひとり、だったとします。

その場合の遺留分は、配偶者1500万円、子1500万円となります。

このケースで故人に配偶者も子もいなくて、親が相続人となる場合の遺留分は2000万円になります。

仮に「愛人にすべての財産を相続させる」という遺言書があったとしても、上記の金額を愛人に対して請求ができます。

この制度の注意点

ただし、この制度は以下の点に注意が必要です。

 遺留分は請求しないと受け取れない

あくまでも相続の原則は「自分の財産は自由に処分が可能」ですから、きちんと主張して請求をしなければ遺言書通りの分け方になります。

 遺留分請求の期限は1年

遺留分を超える遺言書があることを知ってから1年以内に請求しなければなりません。

なお遺留分を主張できるのは、配偶者・子・親だけで、亡くなった人の兄弟姉妹はその対象ではありませんのでご承知おきください。

 

遺留分請求で揉めないために

遺留分を超える財産の返還は、これまでは現物で行うことが原則でした。

遺留分の返還を主張したものの、遺産が不動産ばかりの場合、利害関係が対立する人と共有するなんて現実的ではないですよね。

同じ屋根の下で一緒に住めるわけもないですし、売却する際にもトラブルになりそうです。

または、経営する会社の自社株を対立関係の人と分け合ったら、経営権が分散してしまいますし様々な経営判断に支障が出てしまいます。

そこでそのような事態を避けるために、2019年に制度の見直しが行われました。

遺留分侵害額請求権(いりゅうぶんしんがいがくせいきゅうけん)といい、現物ではなく金銭で請求ができるようになりました。

これにより請求する側は主張がしやすくなると思います。

しかし請求される側はお金を用意しなければいけない訳ですから、支払う資金余力があるのか、遺産の売却が容易に進むのか、

簡単に事が済むとは思えません。

このようなトラブルを避けるために、遺言書を書く側は遺留分を侵害する(超える)ような分け方をしないよう心がけましょう。

しかし普通の人は、自分の財産がどれくらいだから相続人それぞれの遺留分はいくらだ、なんて分かるはずがありません。

まずは専門家の協力を得て、現在の財産を試算してすべてを把握することが大切です。

弊社は相続に詳しい専門家との強固なネットワークがあります。

相談する専門家の当てがなければ、どうぞお気軽にご連絡を下さい。

→相続対策のサポート内容の詳細(トップページ)はこちら

お電話でのお問い合わせはこちら

027-231-2525

9:00〜18:00 月~金曜日(定休:土日祝日)
ご相談内容やお悩みがはっきりしなくても構いません。まずはお話をお聴かせ下さい。
「ホームページを見たのですが…」とお伝え頂くとスムーズです。