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相続税だけではない!「相続対策」って何のこと?

先日の昼下がり、ファミリーレストランでコーヒーを飲みながら事務作業をしていたら、隣の席の会話が耳に届き、つい聞き入ってしまいました。

黒い服をまとった高齢の男女3人組。

きっと、どなたかの葬儀の帰りなのでしょう。

全員が割と大きめな声で話すものですから、しっかり聞き取れてしまいます。

「○○さん(恐らく亡くなった方)とこは財産がたくさんあるから、子供たちはあとが楽でいいやねぇ」

「いやぁ、かえって遺産がたくさんある方がよういじゃない(大変だという意味)んだから」

「カネがある家は揉めるらしいよ」

「でも○○さんとこは商売をやってるから税理士が付いていて、いろいろと前もって相続の準備をしてたらしいよ」

「うちらも前もって準備をしておいた方がいいんかねぇ?」

「いやぁ、子供同士で揉めるような財産なんか何もないから、我々はぜーんぜん大丈夫だんべぇ」

一同大笑い。

・・・。

他にも私からすると、ツッコミどころが満載なのですが、大声で会話を続けるお三方でした。

「相続」って、誰かが亡くなった後にいろんな手続きを行うこと。

多くの人は、きっとそれくらいの認識でしょう。

ですから「生前に相続対策」って言われても、いったい何をすることなのかまったくイメージが湧かないですよね。


すべての財産が引き継がれます

上記の3人組は、「相続は子供がみんな得をする」という意味合いのこともお話しされていました。

果たして、それは本当でしょうか?

相続とは簡単に言うと「誰かが亡くなった場合に、その人が持っていた財産のすべての権利義務を、その人の配偶者や子供などに引き継ぐこと」です。

つまり、正(プラス)の財産も、負(マイナス)の財産も合わせて、すべて家族の誰かが引き継ぐことになるわけです。

相続財産というと、家や土地とか、現金や預貯金、株券、クルマや貴金属や書画骨董品など、その価値を金銭で評価できるもの、というのが一般的なイメージですよね。

しかし忘れてはいけないのは、負債も引き継がれるということ。

ですから、故人が生前に抱え込んでいた借金も、当然のごとく相続財産です。

また意外と知られていないところでは、故人が誰かの借金の連帯保証人になっていた債務も引き継がれることになります。

葬儀や法要を無事に執り行い、ようやくひと段落ついたある日、突然あなたの家へ借金の取り立てが来たら、あなたはどうしますか?

困惑して、故人を偲ぶどころか憎しみに変わってしまうかも知れないですよね?

財産を引き継ぐ人は「そのままそっくりすべてを相続するか、すべてを放棄するか、借金の範囲内で相続するか」の判断を、相続が発生したことを知った時から3か月以内に決めなければいけません。

ですからその期間を過ぎた後に、多額の負債が明らかになったとしても、もう相続を放棄することができなくなるんです。

引き継ぐ側の人生設計が一変し、大変な事態に発展するかも知れませんね。

親御さんとの楽しかった思い出や、夫や妻との嬉しかった出来事のすべてが葬り去られ、憎悪の感情しか残らない・・・。

こんな悲しいことはないですね。

こういった悲しい結末にならないようにすることを「相続対策」と言います。

ですから、そうならないために、もしも借金がある、または連帯保証人となっている場合には、生前にその事実を必ず家族に伝えておかなければいけません.

とても言いづらいことだとは、よく分かります。

しかし、これは借りた人の義務であり、愛する家族のため、絶対に果たすべき責任です。


負債対策には生命保険が合理的

いま相続が起きたら、負債が残ることが明らかになった。

その借金を引き継ぐことを防ぐためには、その負債をカバーできる保障額の生命保険に加入するのもひとつの方法です。

他にも負債から身を守る方法はいくつかありますが、人が亡くなるという事実と同時に現金が生まれるという機能は生命保険にしかないものなので、相続の対策においては非常に合理的です。

負債金額の合計を明らかにして、現在加入済みの生命保険の保障額がそれをどれくらいカバーできているのか確認してみましょう。

足りないようであれば追加で加入することを、そして過大に入りすぎているようであれば解約をする、などの検討をするべきでしょう。

以上が、負債がある場合の対策です。

ここまでを読むと、「うちには負債が無いから大丈夫」と思ってしまうかもしれませんが、決してそんなことはありません。


税金対策以外にも大切なことがあります

相続対策というと、

「お金持ちの人がすること」。

多くの方が、こんなイメージをお持ちじゃないでしょうか?

確かに、ある一定以上の資産を持っている人が亡くなると、それを引き継ぐ人が「相続税」という税金を納めなければいけません。

ですからそのようなご家庭には、事前に「相続税対策」をする必要がありますが、それはあくまでも相続対策の一部分のことです。

相続税対策には、「相続税の納付額が少なくなるよう、持っている財産を他人に譲ったり、その価値を下げるようにする」とか、「税金を納めるための資金を用意しておく」などがあります。

具体的な方法は多岐に渡りますが、巷にあふれている情報の多くがこれに関することだと、私は感じています。

もちろん、それも解決すべき問題のひとつですが、「遺産分割対策」や「認知症対策」も、とても大切な問題です。


 遺産分割対策って何のこと?

「遺産分割対策」とは、

  • いま住んでいる家を誰に引き継いでもらうのか?
  • 別の場所に持っている土地や田畑を、誰に引き継いでもらうのか?
  • 預貯金は誰に対して、どのような割合で分けるのか?
  • 生命保険の保険金受取人は誰にすべきか?
  • 借金は誰に引継がせるのか?
  • 連帯保証人(赤の他人が借りたお金を、そっくり返済しなければならない義務を負うことです)の権利は誰に引き継ぐのか?

などについて検討をすることです。

具体的には、いま持っている財産の棚卸しをするイメージですね。

どこの金融機関にいくら入っているのか

自宅の固定資産税評価額はいくらって書いてあるのか

自宅以外の土地はどこにどれくらいあるのか

どこの生命保険会社でどんなのに入っているのか

借金はいまどれくらいあるのか

ひとつのノートにまとめてみると、いいと思います。

ひと通りまとまったら、それをそれぞれ誰に遺すかな?と想像しながら、名前を書き込んでいく。

そしてその後に家族全員で話し合いをして、お互いの考えを共有しておくと、とても安心ですね。

一度の話し合いではまとまらないかもしれませんが、きっと必ず一歩前進するはずです。


 認知症対策って何のこと?

「認知症対策」とは、

  • 介護が必要となった場合、どこで誰がどれくらいの時間をかけて対応するのか?
  • 認知レベルが下がり意思表示ができなくなったら、財産を誰が管理するのか?
  • 認知症になる前に、財産の引き継ぎ手を誰かに指定しておくべきか?

などについて検討することです。

当り前ですが、元気なうちは自分の財産は自分で管理ができます。

しかし、記憶することや意志の疎通をすることが難しくなってくると、その管理は他人にゆだねる必要が出てきます。

なぜなら、それを奪おうとする悪いヤツが近寄ってくるからです。

例えば、判断能力が曖昧なことに付け込んで売り込みをしてくる悪徳セールスマンや、どうせ分からないだろうと勝手にお金を使い込む家族が出てきたり。

そこから守るためには、「後見人」という本人の代わりを務めてくれる人を立てる「成年後見制度」や、財産の行先を指定ができる「家族信託」という制度を利用することもひとつの方法です。

しかし認知症になってしまったら、できることは限られてしまいます。

詳しくは、認知症になったら手遅れ!相続対策の期限とはのページをご覧ください。

またこちらについても、元気なうちに家族間できちんと話し合いの場を持つべきだと思います。

亡くなった時のことではない分、少しだけ話し合いやすい話題かも知れないので、遺産分割の話はこの後にする方がスマートでしょうか。


 上手に話し合いを進めるには

「遺産分割」について、遺す側は引き継ぐ相手に対して、照れくさいけど今までの思い出や感謝の言葉を添えながら、なぜあなたに託すのかという想いを伝えるとベストですね。

感謝の言葉をもらって嫌な気分になる人など、世界中のどこにもいませんから。

引き継ぐ側にもいろいろな事情があるでしょうから、押し付けるようなカタチでの遺し方はよろしくないでしょうね。

そして引き継ぐ側も、「そんなもの要らないよ!」など、相手への思いやりもなく無下に断るような言葉の表現は避けたいですね。

親子だと、つい遠慮なく何でも言いたいことを言ってしまいがちなので。

親子と言えど、大人としての対応が双方に求められると思います。


 相続対策は誰のためのもの?

いかがでしょうか?

これらについては、資産家かどうかは一切関係ないと思いませんか?

私は、すべての方が向き合うべき問題だと思っています。

そして、これらすべてをひっくるめたものが「相続対策」だと私は考えています。

こういった「相続対策」のお手伝いを私は行っています。もし、自分でやるのではなく専門家のサポートを受けたい場合は、ぜひご相談下さい。

→相続対策のサポート内容の詳細(トップページ)はこちら

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