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覚えてください!熟慮期間3か月

以前、飲食業を営む友人からこのように言われたことがあります。

「お前の商売は、仕入れや在庫管理がなくていいなあ」と。

確かに私の商売には在庫がありません。

しかし、仕入れはあります。

それは何かというと、最新の正しい相続の実務情報です。

生前対策のプロとしてお客様のサポートをする以上、常に新鮮な情報を仕入れなければなりません。

インターネット上にある情報は、すでに賞味期限切れのものもあります。

誤った情報を取りこまないように注意をしたいものです。

実務家向けの学び

先日は、公認会計士の方が講師を務める研修に参加してきました。

それは税理士や弁護士や司法書士などの専門家を対象としたもので、

しかも相続案件に特化した事業展開をしている、まさに相続のプロたちだけが集うものでした。

時折難しい言葉も飛び交っていましたが、講師の丁寧な解説のおかげもあり、大変ためになる情報を仕入れることができました。

いくつもの新しい学びがありましたが、その一部を以下にお伝えしますね。

選ぶのは3択からひとつ

別のコラムにも書きましたが、どなたが亡くなったらその相続人は、

・資産と負債の両方をすべて引き継ぐ単純承認

・借金の範囲内で遺産を引き継ぐ限定承認

・遺産のすべてを引き継がない相続放棄

のいずれかを必ず選ばなければいけません。

そしてこの3択の決定期限は、相続の開始があったことを知ったときから3か月以内です。

初めて相続を経験する人は、そんなこと知りませんよね。

うちの父が亡くなった時、誰もそれについて教えてくれませんでしたから。

しかし、知らないからこそ注意をしなければいけないことがあります。

それは、遺産の処分についてです。

相続のほとんどが単純承認

実際に相続が発生すると、約85%の方が単純承認を選択されています。

それがベストな選択として選んでいる人もいるでしょうが、不本意ながらそれを選ばざるを得なかった人もいるのでは?と私は考えています。

なぜなら、このルールが世の中にまったく認知されていないからです

法定単純承認とは

このルールは民法の中に規定されているのですが、以下の事があると相続放棄や限定承認ができなくなって、自動的に単純承認となってしまいます

このことを、法定単純承認といます。

知らないと、遺産のせいで借金まみれになるかも知れません

大事なことですので、ぜひ覚えておいてください。

法律用語が難しいので、私なりにかみ砕いた表現でお伝えします。

正しく知りたい人は、民法921条で検索をしてみて下さい。

相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき

要は、遺産を勝手に使っちゃった

ということです。

遺産を売ったり、人にあげちゃったり。

または資産価値があるものを壊したり。

形見分けもダメです。

他には亡くなった人が継続的に受け取っていたお金の振り込み先を、自分名義の口座に変更しちゃうとか。

クルマの名義変更もしちゃダメですよ。

気を付けるべきは生命保険。

死亡保険金は受取人固有の財産なので受け取っても問題ありませんが、亡くなる前にもらえるはずだった入院給付金を相続人が受け取ったらアウトです

保険会社は不払いにならないよう手続きを勧めると思いますが、相続放棄や限定承認を検討しているのなら安易に受け取ってはいけません。

このルールを知っている生命保険会社の人は、残念なことですが、ほぼいないです。

何もせずに3か月を経過したとき

亡くなってから3か月なんて、あっという間です。

その間に、資産と負債の調査をすべて済ませなければなりません

重ねて言いますが、そもそも3か月以内に先ほどの3択から選ばなければいけない、なんて知っている人の方が少数です。

ですから本当は相続放棄をしたかったのに3か月を過ぎてしまい自動的に単純承認になってしまった、という人もかなりの数でいると思います。

知らないということは恐ろしいです。

わざと財産隠しをしたり、こっそり使ってたとき

これはもう確信犯ですので、完全にアウトです。

相続放棄の後だとしても、です。

借金には当然貸している人がいるわけで、放棄をされたらその人たちは貸し倒れになってしまうのですから。

法律で守るべきはどちらの人か、という話です。

単純承認以外を選ぶなら、一切触るな

資産も負債もすべて引き継ぐなら構いませんが、それ以外の方法を選ぶなら、

資産に一切触れてはなりません!

「〇〇を使う程度ならいいですかねぇ?」

という声も聞こえてきそうですが、ダメです、やめてください

事情を勘案して許される事柄があるかも知れませんが、それに手出しをしたせいで相続放棄ができずに数億円の借金を背負ってしまい破産して一家離散、などという笑えないことになる可能性があります。

もしも3か月以内に判断ができかねるのなら、熟慮期間伸長の申し立てを家庭裁判所へ出せば、例外的に期間を延長できることもあります。

原則は3か月です

焦って判断を見誤らないように、生前にきちんと資産と負債の把握をしておくことがとても大事です

準備は早いに越したことはないです。

どうぞ、すぐに行動を始めてください。

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